ポプテピピック第3話「#3 ザ・ドキュメント」を考察

A・Bパートで声優を交代するという斬新な手法で話題を集めた「ポプテピピック」。ですが、3話ともなれば、視聴者もその手法になれてくる時期です。このタイミングで制作陣はどのようなネタと演出を織り込んできたのか、検証してみましょう。

 

ポプテピピック「#3 ザ・ドキュメント」の内容まとめ

キャラクターボイス

Aパート:小松未可子(ポプ子)、上坂すみれ(ピピ美)

両者の共演作品:

http://lain.gr.jp/voicedb/individual/costar/2784/cowork/2720/page/1

 

Bパート:中尾隆聖(ポプ子)、若本規夫(ピピ美)

両者の共演作品:

http://lain.gr.jp/voicedb/individual/costar/55/cowork/502/page/1

 

二度寝

学校へ行こうとするポプ子を引き留めるお布団くん。ポプ子はお布団くんの誘惑に負けてしまい・・・。

 

♪ペールギュント『朝』

朝を象徴するクラシック音楽が流れる中、気持ちよく目覚めたポプ子。ところが部屋のカーテンを開けると外はまだ真っ暗だった。ブチ切れてBGMに八つ当たりする。

 

#3 ザ・ドキュメント ~アイドルの夢の向こう側~

今までに何人ものトップアイドルを育て上げてきたプロデューサー「ピピP」が、今売り出し中のアイドルが「ポプちん」。しかし、ポプちんはアイドルなのにタバコや暴力、ファンに中指を立てるなどの行為を繰り返す。ピピPはそんなポプちんをまったく注意せず、彼女に釣り合うメンバーを求めてグループのメンバーを入れ替えていく・・・。

 

その後、ピピPは自身の「理想の世界」を実現するため「クローンポプちん量産計画」を実行。工場で大量生産されたポプちんは人類に宣戦を布告し、瞬く間に地上を支配した。これにて、ピピPが望んでいた「理想の世界」が完成する。

 

ロックマンX & 名作シューティングゲーム

SFC「ロックマンX」でゼロが死亡するシーンと、各種名作STG、超魔界村のレッドアリーマーなどのパロディ。

 

赤い車

ディーラー「どうですお客様、赤い色が素敵でしょう」

ピピ美「ああ、血の色をごまかせるな」

ディーラー「は、ハイブリッドで静かですよ」

ピピ美「ああ、音もなく殺せるな」

 

映画「コマンドー」のパロディとの指摘も。

映画「コマンドー」感想その1:なぜベネットは銃と人質を捨てたのか?

 

いい仕事

「アルバイトしたい」とつぶやくポプ子に「いい仕事紹介してあげようか」というピピ美。アタッシュケースに入れられた大量の現金と、大勢の名前が書かれたリスト、金色の銃を渡し「やれ・・・」と囁く。

 

JAPON MiGNON

ティボ・トレスカ氏「フランスパンって 日本でめちゃくちゃ人気だけど 本場のフランスパンはもっとおいしいよ ポプ子はここで モノホンのフランスパンを 知ることになるんだ」

 

フランスで出会った「モノホンのフランスパン」をすっかり気に入ったポプ子。あとで食べる分も大量に買いだめして、寝るときもベッドで一緒。スキーをするときも板の代わりにフランスパンを履いてしまう。

 

ボブネミミッミ「レッサーパンダ」

レッサーパンダを見るボブ子。レッサーパンダは両手を広げたかわいいポーズで威嚇してくるが、ボブ子は思わず傍に駆け寄ってしまう。近くで見るレッサーパンダは「思ったよりデカかった」。

 

 

 

なっとるやろがい!

「道を歩いていたら床がどっかいった」として、空中で無限に回転し続けるポプ子。ピピ美は「そうはならんやろ」とツッコむ。

 

ボブネミミッミ「何気ない◯◯が、~~を傷つけた」

ボブ子「あたいサンバ大好き!うー、マンボ!」

ミミ美「おい・・・」

(ショックを受ける「サンバ師匠」)

ボブ子「何気ないマンボが サンバ師匠を きづつけた」

 

ミミ美「(フラメンコを踊る)オーレ!」

(ショックを受ける「フラメンコ師匠」)

ミミ美「何気ないオーレが フラメンコ師匠を きづつけた」

ボブ子&ミミ美「そして傷つきあった2人は、結ばれた」

 

 

ファンからのお便り

「ポプテピピックはパロディばっかりでしょうもない。オリジナルネタで勝負してほしい」とのファンレターが届く。「かしこま!」とプリパラのパロディで返答するポプ子。

 

https://dic.pixiv.net/a/%E3%81%8B%E3%81%97%E3%81%93%E3%81%BE%E3%81%A3%21

 

鳩時計

いつものように、唐突に鳩時計が癪に障ったポプ子。時計を床におろして次になったときにハンマーで叩き潰そうと試みるが・・・。(そのままED)

 

全体の流れをより詳細に確認したい方は本編を再度ご覧になるか、下記のサイトを参照してください。

http://anicobin.ldblog.jp/archives/52828782.html

 

パロディの元ネタについては、下記のリンク先が参考になります。

https://matome.naver.jp/odai/2151647897586226501

 

ポプテピピック3話のポイント

ポプテピピック3話には、1、2話では見られなかった新しい特徴があります。

1、2話のオリジナルパートに見られる特徴

1話と2話で使われたネタは、基本的に「さまざまな視聴者層に配慮した、わかりやすいものが中心」でした。そのため個々のネタに関して言えばこれといった統一感はありません。せいぜいアニメオリジナルのパートについて、以下のようなストーリーがあるだけです。

 

1話:「朝、曲がり角でぶつかっての出会い」という、恋愛ものあるあるだと思っていたら、実は悪の組織に捕らえられたポプ子が見ていた夢だった。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E6%A7%BD%E3%81%AE%E8%84%B3

 

2話:「勇者と魔王との決戦」という、ファンタジーものあるあるだと思っていたら、実はアフレコの最中というメタ的な視点。声優が帰った後の収録現場には怪奇現象が残る。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

 

1、2話とも、「メジャーな作品カテゴリにまつわる『あるあるな展開』だと思っていたら、最後はホラーチックなオチで締める」という流れの特徴がありました。基本的に本作のネタはこの流れに沿って毎回作られていくと考えていいでしょう。

 

3話はネタの方向性に統一感が見られる

これと比較すると、3話のネタにはオリジナルパート以外にも全体的に統一感が見られます。まず、オリジナルパートに限れば「アイドルプロデューサーの密着映像という『ドキュンタリー番組あるある』だと思っていたら、実はSFだった」という1、2話と同じようなプロットのもとに構成されています。

 

しかし、それ以外にもピピ美が赤い車に乗るネタ、ポプ子が「いい仕事」を紹介される話、ボブネミミッミの「レッサーパンダ」などは基本的に「社会の暗部」を彷彿とさせるブラックユーモアを含んだネタになっています。もちろん、JAPONMiGNONのフランスパンネタを始めとして、こうした条件に当てはまらないネタもあるのですが、意識してある程度ネタのジャンルを揃えてきた可能性はあるでしょう。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%AF

 

ポプテピピック第3話の演出意図を考察

パロディ元ありきの声優チョイスにネタを合わせた?

今回、Bパートの声優を務めた中尾隆聖(ポプ子)、若本規夫(ピピ美)両氏は、特にドラゴンボールシリーズの悪役フリーザ、セルとして有名です。今回、ふんだんにブラックユーモアのネタを取り入れたのは、両ベテラン声優の持ち味を効果的に活かすためだったのではないかと考えられます。

 

Aパートが当初公式に発表されていたポプ子、ピピ美の声優だったという点と合わせて考えても、初めて「パロディ元とセットで、声優交代を効果的に見せる演出」を盛り込んできたといえるでしょう。

 

ボブネミミッミへの嫌悪感軽減

本編が「ネタのジャンルを揃える」、「ジャンルに合った声優を起用する」という方法で、ネタの「濃さ」を増してきたのと比較すると、今回のボブネミミッミのネタはやや控えめで、真新しい要素は見られません。しかし、今回の挿入された「何気ない◯◯が、~を傷つけた」のネタは、SNSで大量に改変・流用されて拡散し、ボブネミミッミの人気が広まる最初の起爆剤となりました。本編のネタが濃くなった分、ボブネミミッミが抑えられていることで、相対的に「ボブネミミッミへの心理的な抵抗感を弱め、受け入れられやすくする」狙いがあったと考えられます。

 

ポプテピピックを視聴した際のリアクション動画を公開している海外Youtuberも、多くの方がこの「サンバ師匠・フラメンコ師匠」では大きな笑いを起こしています。強烈なシュールさから賛否両論を巻き起こしたボブネミミッミが、多くの方に受け入れられるきっかけになったタイミングだと思います。

 

「ボブネミミッミ」に隠された心理的効果(1/3):「いらない」と言われる理由

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コンテンツの魅どころ

Webライター・マーケティングコンサルタントとして活動しています。実務を通じて学んだマーケティングに関するノウハウや最新情報をわかりやすく提供していきたいと思っています。 また、時事に関わるニューズをマーケティング・ライティングといった切り口から解説してみたいと思います。

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