2019年現在、7000名を超えるとも言われているVtuber(バーチャルYoutuber)ですが、「活動を続けても成果が上がらず悩んでいる」という声を耳にすることが多くなってきました。そこで今回は、チャンネル登録者数が伸び悩み、今後の活動方針に悩んでいるというVtuberの方々が、今後どのように活動していくべきか、マーケティングやマネジメントの見地から考察してみました。... 続きを読む
タグ: バーチャルYoutuber
「NHKバーチャルのど自慢2019」の感想
2019年1月2日、NHK総合テレビにて「バーチャルのど自慢2019」が放送されました。人気のバーチャルYoutuberたちを集め、その歌唱力を競うという内容でしたが、2018年の流行語にも選出されたバーチャルYoutuberがついにNHKに進出を果たしたとしても話題を集めました。この記事では、本番組の内容を私の感想とともに振り返りたいと思います。... 続きを読む
月ノ美兎(にじさんじ所属バーチャルライバー)の特徴と面白さの秘密を考察
月ノ美兎はいちから株式会社が運営するグループ「にじさんじ」に所属するバーチャルライバーです。「清楚な委員長」というキャラクター設定と実際の個性のギャップから話題となり、非常に多くの人々から支持されています。彼女が提供するコンテンツにはどんな特徴があるのか、どんな要素が面白さにつながっているのかについて考察しました。
「自己紹介」というだけあって、最初は公式サイトで紹介されている設定に忠実な発言をしていますが、好きなものを「紅茶とモツ」と応えたあたりから徐々に雲行きが怪しくなってきます。
このコーナーは「現役JKであり、JKの事情に詳しい月ノ美兎がJKから寄せられたお悩み相談に応える」という企画でした。動画内では月ノ美兎が「アナリティクス(分析ツール)によると、自分の動画の視聴者は99%が女性であり、10~20代の視聴者が最も多い」と発言しています。バーチャルYoutuberの視聴者は一般的に男性の方が多いとされており、それとは真逆の内容となるため、多くの視聴者が「ギャップ」を感じるのに十分な発言でした。
視聴者から寄せられた質問も「高血圧気味なので塩分を控えたい」、「腰がグニャグニャになっている」など、JKとは思えないものばかり。企画の趣旨事態が「JKという設定ながら、違和感を覚える発言を繰り返す」という月ノ美兎の個性を色濃く反映したコーナーになっていました。
この時期を境に、月ノ美兎自身の配信もより「キャラクター崩壊」を強調したつくりに変化していきます。
基本的なストーリーは以下のとおりです。
こちらの企画は、「フラッシュゲームを実況し、英語を喋ってしまったらリスナーから募集した恥ずかしいセリフを言わなければならない」という企画でした。単なるゲーム実況であればそれ以前にも行っていましたが、今回あらたに罰ゲームという要素が加わったのが新しいところです。
「英語を喋ってはいけない」、「罰ゲームは恥ずかしいセリフ」という企画内容も、あきらかに「清楚系委員長である(当然、英語もできる)」、「ツンデレである」という月ノ美兎のキャラクター設定を前提としたものでしょう。その証拠に、動画のサムネイルには「皆さんの考えたセリフなんて絶対に読まないんだから!」と訴える月ノ美兎の画像が使用されています。
にじさんじ所属バーチャルライバー「月ノ美兎」とは?
月ノ美兎は、2018年2月からバーチャルライバーとしての活動を開始しました。「バーチャルライバー」とは、バーチャルYoutuberと同じような意味の言葉です。「配信するプラットフォームがYoutubeに限らない」、「生配信を主体として活動する」といった点を考慮してか、いちから株式会社では自社のグループに所属するキャラクターたちの総称としてこの単語を用いています。 月ノ美兎についての過去のエピソードや発言については、にじさんじ非公式Wikiに詳しくまとめられているのでそちらを参考にしてください。 https://wikiwiki.jp/nijisanji/%E6%9C%88%E3%83%8E%E7%BE%8E%E5%85%8E この記事では、コンテンツとしての月ノ美兎にどんな特徴があるのか、どのような意図を持ってコンテンツを作成しているのかについて考えてみたいと思います。過去配信から見る月ノ美兎の特徴
これまで公開されてきた月ノ美兎の動画を見ると、彼女が「設定と実際のキャラクターのギャップ」を重視していることがよくわかります。 まず、にじさんじ公式サイトから彼女がどのように紹介されているか確認してみましょう。高校二年生。性格はツンデレだが根は真面目な学級委員。本人は頑張っているが少し空回り気味で、よく発言した後で言いすぎたかもと落ち込んだりする。https://www.ichikara.co.jp/official 次に、Youtubeで最初に投稿された自己紹介動画をご紹介します。
煮込みに入っている、あの茶色くて薄くてブヨブヨのやつも好きなんですけど、 それよりも鍋に入っている白くて赤子の拳みたいな形のやつの方が断然すきですね。モツについては、動画内で以上のように語っており、「やつ」という「清楚系委員長」らしからぬ言葉遣いや「赤子の拳」という独特のたとえが早くも気になるところです。「赤子の拳」については動画内の字幕でも強調されており、彼女がわざとこうした「キャラクター設定と異なる部分」を全面に打ち出していこうとする意図が見て取れます。
キャラクター崩壊を全面にアピール
「設定と実物とのギャップ」をアピールしている部分は、ほかの動画からも確認できます。たとえば、最初に投稿された「10分ちょっとでわかる」まとめ動画には、以下のような要素が見られます。- (清楚な委員長には似合わない猟奇的な映画である)「ムカデ人間」を見たことがあると発言。(0:05)
- 洗濯機の上で中腰になって配信している(4:02)
- 16歳なのにアマガミ、ラブプラスなど過去に発売されたギャルゲーをプレイしたことがある(5:19)
月ノ美兎の個性とマッチした「PとJK」の企画内容
月ノ美兎が提供してきたコンテンツは主に次の3つのカテゴリに分けられます。月ノ美兎の放課後ラジオ(みとらじ)
ソロでの雑談、リスナーからのお便り(マシュマロ)の読み上げ、ゲストとのコラボトークなど。個性派ゲーム実況
ヨーロッパ企画やファンが作成したゲームのプレイ実況。10分でわかるシリーズ
過去のライブ配信やコラボ配信の見どころを編集した投稿動画。 この中でも特にみとらじに代表されるような企画型配信では、徐々に「キャラクター崩壊によるギャップ」を全面に押し出す姿勢が鮮明になっていきます。その良い例が2018年5月4日に配信された、にじさんじ外部のバーチャルYoutuberであるピーナッツくん、甲賀流忍者ぽんぽことのコラボ企画「PとJK」です。キャラクター崩壊によるギャップを踏まえた企画構成
「月ノ美兎の放課後ラジオ30.4.23」を例としてご紹介しましょう。この回には、R-15指定のBLゲームを配信してYoutubeLiveをBANされた(後に誤りと判明し解除)にじさんじのメンバー「鈴鹿詩子」がゲストとして登場します。また、この回は月ノ美兎の私服衣装が初めて公開された回でもありました。- 月ノ美兎が駅前で「彼ピッピ(リスナー)」と待ち合わせをする
- 月ノ美兎が女の子らしい可愛らしい自室に彼ピッピを招く
- 「友達に会いに行く」と称して、彼ピッピを連れて薄暗い空間へ
- 留置場のような空間で、鈴鹿詩子と面会へ
月ノ美兎が提供する動画コンテンツの基本的なプロット
「PとJK」(ぽんぽこ24)が配信された前後からの月ノ美兎の配信は、主に次のような流れで構成されています。1.公式のキャラクター設定に忠実な前提が提示される
「清楚な委員長である」、「ツンデレである」、「バーチャルアイドルになるのが夢(自己紹介動画より)」といった公式の初期設定が引用され、企画の大前提として提示されます。特にツンデレな性格などは普段の月ノ美兎本人の振る舞いを見ていてもまったくと言っていいほど出てきませんが、あたかも周知の事実であるかのようにして扱われます。2.挑戦する企画内容が示される
ゲーム実況であれば挑戦するゲーム、ラジオであれば紹介するお便りの内容やコラボ相手の紹介など、具体的な企画内容が明らかになります。それらの要素が月ノ美兎が公式設定を貫き通す上でのいわば「障害」となるわけです。3.キャラクターが崩壊し、設定とのギャップが生じる
先に示された「障害」の登場により、月ノ美兎はキャラクター設定を守ることが難しくなってしまいます。ストーリーの中で次第に「ボロ」を出すようになり、リスナーがそこにツッコミを入れることによってひとつの「笑い」が完成します。月ノ美兎最大の魅力は「自己PR」がうまいこと
月ノ美兎は従来、配信の中で「現役JKなら絶対知っているはずのない知識」や「JKらしからぬ言動」を披露し、それによって生じる「キャラ崩壊」が面白さを生む原因になっていました。 しかし、「PとJK」以降は「JKがデートで留置場に行く」、「朝通学しようとしていたら、曲がり角で鋭い顎が胸に突き刺さる」というように、企画のストーリー自体がキャラ崩壊を前提とした展開になることも多くなっています。月ノ美兎自身が「キャラ崩壊による面白さ」という自分の個性・強みを理解し、それとシンクロするような企画内容を考えるようになったと言い換えることもできるでしょう。 バーチャルライバー(バーチャルYoutuber)はキャラクター本人の個性が人気の原動力になるコンテンツです。さまざまなライバーがいる中で埋没してしまわないためには、ライバー自身が自分の優れている点を正しく理解し、それが最も有効に伝わる形でコンテンツを企画しなければなりません。 月ノ美兎の最大の魅力は、そうした「自己プレゼン能力」にあるのではないでしょうか?... 続きを読むバーチャルYoutuber(Vtuber)はなぜ面白い?既存のコンテンツの違いを考察
バーチャルYoutuber(Vtuber)は2016年に誕生した新しいコンテンツの形です。既存のコンテンツと比較すると、明確に異なる特徴をいくつも持っています。今回は、そうしたバーチャルYoutuber特有の斬新さ、新しさについて考察してみました。
コンテンツとしてのバーチャルYoutuberの特徴
バーチャルYoutuberは、「2D・3Dモデルを持ったキャラクターが生配信や投稿動画で動き、喋るコンテンツ」です。これらの特徴は以下のように分解できます。- ITが活用されている
- タレント性を持ったキャラクターが核となっている
- 動画コンテンツである
ITが活用されたコンテンツとの比較
匿名掲示板との違い
「5ちゃんねる」に代表される匿名掲示板は、共通の話題について不特定多数の人とコミュニケーションをとる手段として多くの人々に利用されてきました。日本中・世界中から閲覧者や投稿者が集まるため、集合知のメリットにより価値ある情報が蓄積される場合もあります。一方で、誹謗中傷が起きるなど負の側面があることも否定できません。掲示板そのものや、過去の投稿を記事化した「まとめサイト」は「ITによって生まれたコンテンツ」だと評価できます。 バーチャルYoutuberが匿名掲示板と最も異なっている点は、人々がコンテンツに集まる理由でしょう。匿名掲示板が「トピックありき」なのに対して、バーチャルYoutuberは「キャラクターありき」のコンテンツです。同じVtuberを継続的に視聴する場合、「何をやっているか」よりも「誰がやっているか」が重視される傾向が強くなります。たとえば、同じゲームを別々のVtuberがプレイしている場合、「どちらのVtuberのほうが好きか」が視聴するほうを選ぶにあたってのポイントになります。ブログとの違い
誕生した当初「インターネット上の日記」と呼ばれていたブログは、個人が意見を発信する手段として定番の存在になりました。通常、ブログを運営する主体は個人、あるいはひとつの団体です。「コンテンツの提供者が決まっている」という点はバーチャルYoutuberと共通しているといえるでしょう。 逆に異なる点は「情報が一方通行であること」、「コンテンツの主体は動画ではなく、文字であること」です。多くのブログには閲覧者がコメントを残す機能もあるので、双方向のコミュニケーションができないわけではありませんが、基本的には「コンテンツ提供者による情報発信」がメインになります。ブログの1記事はおおよそ1000~10000文字程度で、5~15分程度の時間で閲覧できる場合がほとんどです。 バーチャルYoutuberは、双方向性のコミュニケーションが可能な、動画を主とするコンテンツです。投稿動画は数分~数十分程度の尺に収まるケースが多いですが、生放送となると1~3時間以上に上ることも少なくありません。SNSとの違い
「誰でも気軽に思ったことをその場でつぶやける」手段として親しまれているのがSNSです。SNSは「つぶやき」ができるサービスの総称であり、利用できる機能は基本的に誰でも変わりません。しかし、知名度がある人や面白いつぶやきをするに人は多くの人にフォローされ、そうでない人にはあまり人気が集まらないという特徴を持っています。 「コンテンツ提供者の人気によって情報発信力に差が生じる」という点は、バーチャルYoutuberと共通している部分だといえるでしょう。文字や画像だけでなく動画を共有することもできるため、バーチャルYoutuberの多くは自己PRやファンとのコミュニケーションのためにSNSを活用しています。従って、SNSとバーチャルYoutuberは別々のコンテンツと捉えるよりは、「コンテンツとしてのSNSの一部に、バーチャルYoutuberも含まれる」と捉えたほうが正確かもしれません。タレント性が重視されるコンテンツとの違い
二次元(アニメ・漫画・ゲーム)との違い
二次元のキャラクターが登場するアニメ・漫画・ゲームなどのコンテンツ群では、登場キャラクターの個性が作品全体の魅力に重大な影響を及ぼします。たとえば、漫画作品がアニメ化される場合、ファンの多くは「自分のお気に入りのキャラクターがいつ登場するか」を気にするものですし、漫画やアニメの実写化が行われるときには、「お気に入りのキャラクターを誰が演じるか」にやきもきする人も少なくありません。 二次元コンテンツのキャラクターは、基本的にストーリーに沿って決められた役割しかこなしません。ゲームなどではストーリーに分岐が生じることもありますが、自分の意志で考え、リアルタイムで行動することはないのです。それに対してバーチャルYoutuberはキャラクターが自分の意志で自由に動きます。もちろん、決められたストーリー(台本)がある投稿動画もあるはずですが、ほとんどの場合、Vtuberたちはその都度、自分の判断で行動し、毎回異なるリアクションを見せてくれます。生放送ともなれば、Vtuberがどんな言動をするかまったく予想がつきません。そうした「予測不可能性」を持っているという点にVtuberの独自性があります。アイドルとの違い
タレント性が重要視され、近年特に広まったコンテンツとしては「アイドル」が挙げられます。アイドルもプロモーションビデオなどでは決められた言動をしますが、ライブなどのイベントやテレビメディア上での活動などは基本的に自分の意志で動きます。この点はバーチャルYoutuberと共通しているといえるでしょう。 しかし、一見すればわかる通り「キャラクターがバーチャルな存在であるかどうか」という点が決定的に違っています。Vtuberの中には、実際の自分の見た目に近いモデルを使っている人もいますが、外見どころか性別や種族(人間以外の動物・モンスターなど)がまったく違っているケースも珍しくありません。理論上「自由に好きな外見を選ぶことができる」という点はVtuber独自の特徴でしょう。ゆるキャラとの違い
バーチャルYoutuberと複数の共通点を持っているコンテンツに「ゆるキャラ」があります。企業や自治体、特定の団体などを象徴する存在であるゆるキャラは、イベントに参加するなどしてPR活動を行っています。Youtubeなどの動画投稿サービスにアカウントを持ち、動画コンテンツを配信しているゆるキャラも中には存在します。以上の点を見ると、企業勢と呼ばれる、団体に所属して活動するバーチャルYoutuberと多くの共通点を持っていることがわかるはずです。 また、東京ヤクルトスワローズのマスコットキャラクターである「つば九郎」のように、ユニークで自由な言動が人気のキャラクターも数多くいます。「決められたストーリーに縛られない」という点でもVtuberとの共通点が見いだせるでしょう。 逆に、バーチャルYoutuberと比較すると「リアル世界での活動の可否」、「ファンとのコミュニケーションの程度」に違いが存在します。バーチャルYoutuberは一部例外もありますが、原則としてリアルのイベントに参加することはできません。ディスプレイなどを用意し、姿を映し出すことはもちろんできますが、画面から出て人々と直接触れ合うことは不可能です。 ゆるキャラはというと、握手などファンと直接触れ合う活動は可能ですが、ほとんどのキャラクターがしゃべらないため会話でのコミュニケーションは難しいと言えます。なかには声を出したり、筆談したりして意思疎通ができるキャラクターもいますが、その多くが設定上そもそも「人間ではない」ため、人間と会話するレベルのコミュニケーションが難しいケースがほとんどです。その他の動画コンテンツとの違い
リアルYoutuberとの違い
そもそも「Youtuber」とは、主に収益化を目的としてYoutubeに継続的な動画投稿を行う人々のことを指していました。従って「バーチャルYoutuber」という言葉には、現実世界の人間である(リアルの)Youtuberと対比させる意味合いが込められていると考えられます。 リアルYoutuberとバーチャルYoutuberの明確な違いとしては「リアル世界での活動の可否」が挙げられるでしょう。ゆるキャラとは異なり、ファンとのコミュニケーションの程度に大きな違いはありません。投稿動画コンテンツとの違い
Youtubeだけでなく、ニコニコ動画など動画を共有し不特定多数に公開できるサービスは少なくありません。これらの動画共有サイトには、自作のおもしろ動画を公開する人もいれば、アニメなどのプレイ動画、「歌ってみた」動画など数多くのユニークな動画コンテンツが存在します。こうしたコンテンツをまとめるのは簡単ではありませんが、仮に「投降動画コンテンツ」として一括りにするのなら、これらとバーチャルYoutuberにはどのような違いがあるでしょうか? 技術的な違いとしては「リアルタイム性の有無」が挙げられます。ライブストリーミングを除くのならば、動画共有サイトのコンテンツは基本的に閲覧者が好きなときにいつでも再生できますが、逆に大勢で同じ生配信を見たときに得られる一体感を得ることはできません。ただし、ライブ配信を行わず投稿動画をメインで活動しているバーチャルYoutuberもいるので明確な相違点とは言い切れないでしょう。ライブストリーミング配信との違い
プロゲーマーやアイドル、お笑い芸人などを始めとして、ライブストリーミング配信を行う人々は数多くいます。これら既存のライブ配信とバーチャルYoutuberはどのように異なっているのでしょうか?ちなみに、利用する動画配信サービスによっても変わりますが、多くの場合ライブ配信は投稿動画としてアーカイブされるため、仮にリアルタイムで視聴できなくても事後的に閲覧することも可能です。 最大の違いは、投稿者本人のタレント性と動画配信そのものが「不可分」と言えるかどうかでしょう。バーチャルYoutuberは基本的に映像の中やネット上でしか活動できないため、「動画配信ができない」となると事実上活動できなくなってしまいます。一方、プロゲーマーやアイドルは動画配信ができないからといって、活動できなくなってしまうわけではありません。リアルのイベントに参加したり、関連グッズを販売するなど、ほかの方法で活動していくことは十分に可能です。バーチャルYoutuber(Vtuber)の特徴と独自性
以上の比較から、バーチャルYoutuberのコンテンツとしての独自性は次のようにまとめることができます。中核をなすキャラクターがバーチャルな存在である
外見を自由に選べるというメリットがある代わりに、リアルの活動がほとんどできないというデメリットがあります。最も重要な要素は「キャラクター本人」である
バーチャルYoutuberが提供するコンテンツでは「何をやったか」よりも「誰がやったか」が最も重視されます。Vtuber本人の個性が人気を大きく左右しますが、リアルの活動がし辛いという弱点を抱えているため、多くのVtuberはSNSを活用して積極的にファンや同業者との双方向コミュニケーションに努めています。「キャラクター」と「動画」が一体不可分な存在である
Vtuberが提供するコンテンツの大半は、投稿動画とライブ配信です。SNSでの活動を除けば、キャラクターが個性を発揮できるのは動画内・ライブ配信内に限られるため、事実上キャラクターそれ自体と動画コンテンツを分けることができません。リアルタイム配信はファンとのコミュニケーションの場を兼ねるため、近年は重要視される傾向が高まっています。ネット社会の変化がバーチャルYoutuberを生んだ
現代社会のテクノロジーの発展はめざましく、人々の嗜好も細分化し目まぐるしい速さで世界は変化し続けています。ネット上に限るなら、近年特に大きな技術的発展と言えるのが、ライブストリーミングを含めた「動画配信」や、SNSによる「不特定多数との情報共有・情報交換」が容易になったことが挙げられるでしょう。 バーチャルYoutuberは、こうした技術・社会の変遷にうまく対応する形で業界を徐々に拡大してきました。今回明らかになったバーチャルYoutuber独自の特徴は、どれも動画配信やSNSと相性のいいものばかりです。多くの人々が利用し、もはやネットインフラのひとつとなったそれらの要素と、コンテンツの核となる部分の親和性が高かったことが、急速な業界の広がりを可能にした原因ではないでしょうか。... 続きを読むバーチャルYoutuber(Vtuber)はなぜ人気なのか?その理由を考察
バーチャルYoutuber(Vtuber)は2016年ごろから登場し、その後急速に拡大・発展を続けてきたコンテンツカテゴリです。今までのコンテンツとは明確に異なる斬新な特徴をいくつも持っており、それが人気の理由になっています。バーチャルYoutuberはなぜ人気なのか、どんな独自性を持っているのか考察してみました。
2018年7月現在、バーチャルYoutuberの人数は3000~4000人以上とも言われています。企業に所属し、ビジネスとして活動しているバーチャルYoutuberもいれば、個人として活動しているものもおり、活動の頻度や内容まで千差万別です。
バーチャルYoutuber(Vtuber)とは?
まずは、バーチャルYoutuber(Vtuber)とはどのようなものか、簡単に確認してみましょう。ニコニコ大百科によると、バーチャルYoutuberは以下のように要約することができます。主にYouTube上で動画等の配信活動を行う架空のキャラクター群を指すのに用いられる呼称である。「VTuber」などと表記されることもある。http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%AByoutuber 「動画、もしくは生配信」で、アニメ作品のように「2D、あるいは3Dモデルのキャラクターが動き、喋るコンテンツ」である、と考えると理解しやすいでしょう。
バーチャルYoutuber(Vtuber)の成り立ち
ITが人々の生活と密接に関連している現代社会においては、特に情報サービスやコンテンツの成り立ちを明確に定義することが極めて難しくなっています。さまざまな情報が容易に、かつ瞬間的に流行・拡散していくため、「いつ、どこで、どのような動きが起きたのが『最初』なのか」がわかりにくくなっているからです。 同じく、ニコニコ大百科によると、バーチャルYoutuberという言葉の起源・成り立ちは次のように推測されています。語の初出は日本国内における類似した活動の先駆者的存在であったキズナアイが2016年12月1日に投稿した『【自己紹介】はじめまして!キズナアイですლ(´ڡ`ლ)』と思われる。彼女の活動一周年と登録者100万人を迎えた2017年12月頃にはジャンル全体がインターネット上で爆発的に流行し、ニコニコ大百科においてはHOTワードを席巻することもあった。
初出の時点で定義は極めて曖昧だが、キズナアイ登場以降の2017年に生まれた類似するキャラクターは「バーチャルYouTuber」に近い呼称を自称する傾向にあり、それをバーチャルYouTuberとして扱うことには概ね抵抗が無いと言える。